buonitaliaのblog

極寒だと思っていたら、突然春になった。陽があたっていると暑すぎるくらいだ。近頃畑の野菜も凍ってしまっていたけれど、どうなったかなと外に出てみる。見るとブロッコレッティがたくさん新しい芽をだしている。おお!と喜びもひとしおだ。ブロッコレッティは日本では菜の花として売られている。この芽というのは、柔らかい葉がでた後ブロッコリーの小さいものができ、それが黄色い花になる。この小さいブロッコリーが柔らかくてとてもおいしい。柔らかい葉も一緒に、ニンニクとオリーブオイルで炒めて食べる。最初強火で、次に蓋をして弱火で30分近く火を通すと、柔らかくてまるで野菜のクリームみたいだ。味付けは塩だけ、野菜の味が薄い時はアンチョビを2、3本入れる。これにオレッキエッティという耳のようなパスタを茹でで和えると感激する程おいしいパスタのできあがりだ。畑の野菜が少なくて心細いときに、このブロッコレッティがでてくると、いよいよ春の始まりで元気がでる。

今年はトマトも種から育てようと、2週間以上前にめずらしい種類のトマトの種を植えてみた。なかなか芽がでないと心配になってきていたが、今日やっと芽がでたのでバンバンザイだ。

ところで今日はこれから阿佐ヶ谷のお店に新しくパスタを入れるため、税関検査用のパスタを送った。税関検査は面倒なもので、商品を入れる前に必ず2週間以上かけてこの食品に何か問題はないか確かめる検査を行う。税関を出る前に商品を止めなければ検査ができないので、宅急便で貨物番号をつけて送らなければならない。というわけで、スパゲッティを一袋折れないように発泡スチロールの箱に入れて送ることにした。この小包が、なんと日本まで150ユーロもして仰天だった。150ユーロというと、最近1ユーロ139円くらいなので、2万円も払ったことになる(!!!)。

宅急便のお兄さんが「これ何ですか?」ときくので、「パスタ一袋です」と答えると、「パスタ?一体なんのパスタですか?まさか首相にでも送るわけでもないでしょうに」と不可解な顔をした。一袋150ユーロのパスタなんて本当に聞いたこともない。皆さん、輸入ってお金かかるんです。新しいパスタは5月くらいに入るので楽しみにしていて下さい。おいしいですよ。

今日子



隣近所のカポッチ家の男の子に、中学で日本について勉強しているので、ぜひ授業に来てほしいと頼まれた。村の中学校は本当に小さな学校で、13歳の彼の学年は1クラスしかなく、12人だけだ。私が日本で中学校に通っていた時は、1クラス40人で9クラスあったから、えらい違いだ。

私は人前でしゃべるのは苦手だし、しかもイタリア語、それもかなり方言が強いので、夫・シルヴィオが一緒ならいいよとOKした。やはり村の人と仲良くしようと普段から心がけているから、ここはひとつ、がんばらねばと思ったのだ。この村に住んで5年経つが、方言の強いお年寄りが話すときなど、未だにさっぱりわからない。シルヴィオが仕事柄まったくアクセントのない話し方をするので、それに慣れている私には方言は悩みの種だ。イタリアでは特に統一国家になったのが最近で、田舎だからというだけでなく、州に寄ってまったく違う方言を話す。

さて、約束の12時半に教室に着くと、みんなニコニコ顔で迎えてくれた。実際に12人の生徒を見てみると、どの生徒も村のどこかで見たことがある。この小さな村では、始めアジア人の私をかなり珍しがったものだ。今でこそ慣れてくれたが、最初の一年くらいは皆私を見かけると凝視して固まっていた。アジア人など見たことがない人ばかりだったのだろう。

教科書を見ると日本の地図、東京の高層ビルの写真などがあった。皆それぞれ質問を考えて来たらしく、一番疑問に思っているのが、日本の経済成長についてだった。イタリア人が働かない、仕事がスムーズに進まないというのは日本でも知られているが、一番の日本人の仕事の仕方と違うのは、個々の責任感ではないかと思うと答える。すると横で先生が「いいですか、責任感ですよ!責任感!」と大きな声で厳しく言う。あとは食べ物の話になり、すしとは何かと聞かれる。にぎり寿司は普通レストラン(寿司屋)で食べるもので、家庭では握らないと答えると皆驚く。イタリアではレストランでプロの職人だけが作れる、修行しなければ上手く作れない料理など存在しないからだ。

そして"日本がアメリカに影響され、超モダンな暮らしをしている"、と教科書に書いてあるのを見て、「でも日本ではまだハシでご飯を食べるのか」と先生に聞かれた。一瞬目が点になり、どういう意味かと考える。ハシは別に原始的な食べ方ではないのだけれど・・・、あまりに突拍子もない質問にただ「はい、ハシで食べます」としか答えられなかった。こういう質問にはいったいどう答えたらいいのか、あとから悶々と考えてみたけれど、いい答えはでない。

30分という短い時間だったけれど、シルヴィオがしゃべり続けて(さすがプロ)皆満足してくれたみたいだった。やれやれ。

今日子



ここ3、4日、イタリアはこの冬一番の寒さだ。夜はマイナス10度以下になり、家の水道管が凍り付いてしまった。こんなことはこの家に住んで初めてだ。同じウンブリア州の山カステッルッチョという村では、イタリア国内のこの冬の最低気温、マイナス32度を記録したそうだ。

水がないので近くの村の共同で使う泉に行ってタンクに水を入れてもって帰る。ないとわかっているのについ癖で蛇口をひねってしまい、お皿も洗えないしパスタも茹でられない、野菜も洗えないし、トイレも使えないで大変だった。

こういう時に役に立つのが、普段から用意してある「オイル漬け各種」だ。先日新鮮なカタクチイワシが手に入ったので、これをオイル漬けにしておいた。作り方は簡単だ。イワシの内臓、頭、尾を取り除いて水でさっと洗い、多めに塩をふって30分置いておく。次にワインビネガーに浸す。やり方は2種類あり、ひとつはこのまま2時間程漬けておく。次に容器にオリーブオイル、ニンニク、ペペロンチーノ、イタリアンパセリを混ぜて、ワインビネガーに漬けておいたイワシをオイルに漬ける。この時イワシがオイルから顔をださないようにたっぷりオイルを入れておく。これで次の日にはおいしく食べられる。ワインビネガーで殺菌するので、身が白っぽくなり、生っぽさも少し残る。ちょうどシメサバのような食感でとてもおいしい。

もう一つのやり方は、30分塩漬けにしたイワシをワインビネガーでさっと火を通すやり方だ。イワシが崩れやすいので、ワインビネガーをたっぷりにしてイワシを泳がす感じにすると崩れない。1分も茹でればよいだろう。イワシが冷めたらオリーブオイルとニンニク(ニンニクはどちらのやり方も1かけを3つくらいに切るとよい)、イタリアンパセリ、ペペロンチーノを容器に入れて漬ける。このやり方は火を通してあるので、2週間くらい漬けてから食べるとより味がしみておいしくなっている。最初のやり方より味がかわらず日持ちもする。味は最初のやり方の方が私は好きだが、好みでいろいろ試してみるとよいだろう。これは朝食にも、お客さんがいるときのちょっとしたアンティパストにも、料理できない時、したくない時にもとても便利な保存食なので、私はとても重宝している。

それにパプリカが安く手に入った時に作っておいた、パプリカのオイル漬けでもあるとバッチリだ。これは暖炉で炭火焼にして皮を焦がし、皮をきれいにとって適当にちぎってニンニク2カケ(これも1かけを3つくらいに切る)と塩、オリーブオイルに漬けておく。炭火でなくても家のガスコンロで焼きナスの要領で作れば日本でもおいしくできる。そしてパン、果物などがあればりっぱなお昼ご飯に変身だ。もし夜も水がでなかったら、今度は自家製ソーセージのオイル漬けとリンゴや、チーズと洋梨の組み合せでも食べるとする。私は動くのがおっくうでものぐさなので、動かなくていいように日頃からこういった面倒くさがられる保存食をセコセコと作っておく。これで家から一歩もでないで何日かは過ごせるのだ(笑)。

今日子



このページのトップヘ