buonitaliaのblog

2004年03月

今日は遊びに来てもらった日本人の友人に豆腐を作ってもらった。

大豆とにがりは日本から送ってもらったものがあるので、これを使って作ってみたが、とてもおいしくできた。当然おからもできるので、炒ってからダシで味付けして食べたら懐かしくて感激してしまった。

ローマには有名な豆腐を作っているかなり年配の日本人のおばあちゃんがいる。今はイタリア人の手伝いの方がほとんど作っているそうだが、日本の大量生産のスーパーの豆腐よりずっとおいしい。

ローマの日本人学校やアジア食品店などに卸しており、直接電話して予約しても買えるようになっている。豆腐はイタリアでは大豆チーズと呼ばれ、健康食品店でもイタリア産のものが売られている。しかしこれは普通の日本の豆腐とはずいぶん異なり、硬くて味がしなくて変な食べ物だ。

あとは中華料理屋さんで直接手に入れることもできるが、日本人としてはやはり日本の豆腐の方がうれしい。

豆乳も牛乳アレルギーの子供用にたくさん売られている。しかしこれにはバニラかアーモンドの匂いがついていて、あまりおいしくない。

大豆ソースというのはしょうゆの呼び名で、しょうゆをしらないイタリア人に大豆ソースと言うと、なぜ豆がソースになるのかさっぱりわからないようだ。大豆は日本で様々な形で食べるが、イタリアでは豆以外の何物でもないようだ。

今日子



畑の冬野菜もわずかになった。ちりめんキャベツが少し残っていたので、キャベツとジャガイモの炒め物をしてみた。

ちりめんキャベツはしわしわで、味も普通のキャベツよりえぐみがある感じだ。作り方はいつものように簡単だ。キャベツとジャガイモを別々に茹でる。ジャガイモは一口大に切り、キャベツは適当に刻んでニンニクとオリーブオイルで炒めるだけだ。

これで豚の三枚肉を炭火焼にして、パンにはさんで食べるのに付け合せになる(豚肉とキャベツ、ジャガイモは食べ合わせがよくて、ドイツの食卓にはよくあがる)。

葉野菜とジャガイモは茹でた後一緒に炒めると、葉野菜の苦味やさっぱり加減にジャガイモの甘味とボリュームが加わっておいしく食べられる。もちろん、素材がおいしいのが条件だが。

他にビート(テンサイの葉の部分で、こちらではとてもポピュラーな野菜だ)とジャガイモ、チコーリア(タンポポの葉)とジャガイモなど、いろいろな組み合わせができるので、どこのうちでもよく食べる。

こういった食事は、豚の三枚肉も含めて、レストランではほとんど食べられないものだ。もともとお金のかからない貧しい食事で、これではお金がとれないからだ。しかし田舎ではこういった食事こそ、現地で採れるおいしくて健康的な食事なのだ

今日子



子供の頃は苦いものがきらいだったが、だんだん味覚が変わってきたのか、苦味がおいしいと思うようになった。

私の好きな苦いものの一つに、まずオリーブの燻製がある。黒オリーブを燻製にしてオリーブオイルとニンニクとオレンジの皮などに漬けたものだ。噛んでいるとオリーブの苦味が最初にくるのだが、だんだんふんわりと柔らかい甘味に似た味に変わるのだ。

野菜にも苦いものがたくさんある。サラダの中に、ラディッキオというチコリの仲間で、紫キャベツとレタスの間のようなものがある。これも苦くて子供は嫌がるが、有名なラディッキオのリゾットの他に、生でサラダとして食べると特に苦いと感じる。しかし後味がさっぱりしていてよい。オーブンでモッツァレッラチーズとアンチョビと一緒に焼くと、苦味をチーズが柔らかくし、アンチョビで味の深みが混じっておいしい。

エンダイブなどのチリチリのサラダも苦いのだが、肉の付け合せにすると消化を助けるせいか、肉をすっきりと食べられる。

チコーリアという野草で、タンポポの葉の種類のものが春と秋にたくさん生える。これもとても苦くて最初はなにかと思うのだが、ニンニクとオリーブオイルと塩、唐辛子で炒めるといかにも野性的な香りがする。あまり苦いので、これは体に良いと言い聞かせながら食べるとだんだんおいしくなってくるから不思議だ。

苦いものはワインともよく合う。苦味とワインの味が混ざって複雑な味になり、口の中でしばらくいろいろな味が楽しめるのだ。ワインも少し苦いし、苦味にはいろいろな味があっていて飽きないものだなと思うようになった。

今日子



イタリアに来てから香草についていろいろと知った。オレガノやタイム、バジリコにマジョラムなど、いろんな香草を料理に使うと香りがよくて料理に幅がでる。

この良い香りが、どうも日本で嗅ぐとアジア的で鼻につく匂いに変わるのがとても不思議だ。空気や湿度のせいだと思うが、ちっとも料理に生きてこないような気がする。反対にこちらでカツオと昆布のダシの匂いを嗅ぐとちょっと臭いと思ってしまうこともある。

だいたい材料や調理法によって合う香りが決まっている。例えば、ナスにはローズマリーが合う。しかしナスのオーブン焼きにはバジリコがよくあう。という具合だ。

アーティチョークやズッキーニにはミント、ジャガイモにはローズマリー、トマトにはバジリコが合うが、トマトソースには月桂樹やタイムなどもばっちりだ。

月桂樹は肉類には強い香りを発揮して臭みを消す。牛肉でスープを取る時などはかかせない。鶏肉にはローズマリーがよく合う。

ピーマンのソースにはタイム。魚料理にはバジリコよりイタリアンパセリが使われる。絶対にこれでなければダメというものは少ないので、いろいろ気分によって香草をかえる楽しみもある。

私の家の庭には2x3メートル四方の巨大なローズマリーの植木と、高さ2メートルない位の月桂樹の木がある。この二つはとても便利でいつも使っているのだが、ある日突然月桂樹の葉が全部茶色に枯れてしまった。別に害虫がいたわけでも、薬を撒いたわけでもなく、気温も春だったのでどうしてかわからないままだった。

愛着をもっていた木が枯れてしまい、ショックを受けた。仕方がないので木を半分切ってしばらく放置しておいたのだが、なんとその木の下から、どんどんと若い月桂樹の芽がでてきたのだ。そしてあっという間に最初の木より大きくなってしまった。

私はなんだか最初の木が枯れる前に、次の生命を残してくれたのではないかととてもうれしくなった。新しい葉の月桂樹は葉が若くてとてもいい香りをだしていて、今まで以上に月桂樹の香りが好きになった。

今日子



今日は大雨の日曜日だった。知人が新しく家を建てたお祝いに、お昼に招待してくれた(近頃お呼ばれが多い)。

日曜日のお昼ご飯にお客さんを呼んで一緒に食事をするというのは、イタリアではよくある。呼ばれた人はデザートのドルチェをお土産に持って行くのが普通だ。実際、街中のケーキ屋さんは日曜日の朝は稼ぎ時で、他の店がほとんどしまっている中バリバリ働いている。

私の住んでいる所は、”女性はみんな家で料理を上手につくることが一番大事”という雰囲気が残っているので、デザートも手作りの所が多い(と言ってもクロスタータというボソッとしたタルト生地にジャムを塗った、特においしくないケーキがほとんどだが)。

だからもし何か作って持って行ってもケーキが他にあることがあり、なんとなくどちらがおいしいかで気まずい雰囲気になる。そしてお互いに自分の方がおいしいと思いつつ双方のを褒めちぎってしんどい思いをするのがいやで、作るのをやめてしまった。

そして私の作るケーキは卵とバターをたっぷり使った見た目もバケツケーキやジャムケーキよりきれいではえるのだが、はっきり言ってかなり浮いている。

他に喜ばれるお土産にワインを1本という手もある。しかしこれも田舎では自家製のワインを作っていて、やっぱり各家庭うちのは一番と思っている。だからあまり高いワインを買っていくのは大げさだし、安いのだったら手作りワインの方がおいしい。仕方ないから少しだけ高めのワインを買って、ま、たまには違う地方のワインでも飲んでよ、と自分で思うことにしている。

結局なにが田舎で一番喜ばれるかというと、安めのスコッチウイスキーなどが手軽でよい。これなら自家製という家はまずないからだ。

日曜日の朝はウンブリアの名物の、いろんな肉の炭火焼きを暖炉で焼いている匂いがどこの家でもする。

今日もお昼ご飯は山のようなご馳走だった。パスタは1種類だが山盛りにおかわり、肉団子に七面鳥の炭火焼、などなど死にそうに食べたのだった。

今日子



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