buonitaliaのblog

2005年03月

ここ3、4日、イタリアはこの冬一番の寒さだ。夜はマイナス10度以下になり、家の水道管が凍り付いてしまった。こんなことはこの家に住んで初めてだ。同じウンブリア州の山カステッルッチョという村では、イタリア国内のこの冬の最低気温、マイナス32度を記録したそうだ。

水がないので近くの村の共同で使う泉に行ってタンクに水を入れてもって帰る。ないとわかっているのについ癖で蛇口をひねってしまい、お皿も洗えないしパスタも茹でられない、野菜も洗えないし、トイレも使えないで大変だった。

こういう時に役に立つのが、普段から用意してある「オイル漬け各種」だ。先日新鮮なカタクチイワシが手に入ったので、これをオイル漬けにしておいた。作り方は簡単だ。イワシの内臓、頭、尾を取り除いて水でさっと洗い、多めに塩をふって30分置いておく。次にワインビネガーに浸す。やり方は2種類あり、ひとつはこのまま2時間程漬けておく。次に容器にオリーブオイル、ニンニク、ペペロンチーノ、イタリアンパセリを混ぜて、ワインビネガーに漬けておいたイワシをオイルに漬ける。この時イワシがオイルから顔をださないようにたっぷりオイルを入れておく。これで次の日にはおいしく食べられる。ワインビネガーで殺菌するので、身が白っぽくなり、生っぽさも少し残る。ちょうどシメサバのような食感でとてもおいしい。

もう一つのやり方は、30分塩漬けにしたイワシをワインビネガーでさっと火を通すやり方だ。イワシが崩れやすいので、ワインビネガーをたっぷりにしてイワシを泳がす感じにすると崩れない。1分も茹でればよいだろう。イワシが冷めたらオリーブオイルとニンニク(ニンニクはどちらのやり方も1かけを3つくらいに切るとよい)、イタリアンパセリ、ペペロンチーノを容器に入れて漬ける。このやり方は火を通してあるので、2週間くらい漬けてから食べるとより味がしみておいしくなっている。最初のやり方より味がかわらず日持ちもする。味は最初のやり方の方が私は好きだが、好みでいろいろ試してみるとよいだろう。これは朝食にも、お客さんがいるときのちょっとしたアンティパストにも、料理できない時、したくない時にもとても便利な保存食なので、私はとても重宝している。

それにパプリカが安く手に入った時に作っておいた、パプリカのオイル漬けでもあるとバッチリだ。これは暖炉で炭火焼にして皮を焦がし、皮をきれいにとって適当にちぎってニンニク2カケ(これも1かけを3つくらいに切る)と塩、オリーブオイルに漬けておく。炭火でなくても家のガスコンロで焼きナスの要領で作れば日本でもおいしくできる。そしてパン、果物などがあればりっぱなお昼ご飯に変身だ。もし夜も水がでなかったら、今度は自家製ソーセージのオイル漬けとリンゴや、チーズと洋梨の組み合せでも食べるとする。私は動くのがおっくうでものぐさなので、動かなくていいように日頃からこういった面倒くさがられる保存食をセコセコと作っておく。これで家から一歩もでないで何日かは過ごせるのだ(笑)。

今日子



近頃豚肉の話題ばかりだったので、今回は牛肉について。インボルティーニは牛肉の薄切りにニンジンやセロリ、また地方によってパルミジャーノ、生ハム、アーティチョークを入れて巻いたものだ。日本でもインゲンやアスパラを巻いて弁当のおかずに入れたりする。ただ、日本の牛肉のように本当に薄切りではない。だいたい3ミリくらいはある。それと日本の牛肉のように霜降りではないので、巻いた時にさらにゴロッとする。最初夫が作っているのを見て、こんなゴロッとした肉巻きはおかしいと思った。第一肉を巻いてもピッタリくっついてくれないので、つまようじでブスッと刺して止めなければならない。

今日作ったのは、ラツィオ州のレシピを一部利用する。特徴は中にグワンチャーレ(豚の頬肉を干したもの。脂身がとても多い)を薄く切ってみじん切りにし、ニンニク、ローズマリーのみじん切りを混ぜて、肉の一面に塗る。この時肉に塩もまぶしておく。前々回ニンニクはみじん切りにはあまりしないと書いたけど、今回はみじん切り。そしてセロリとニンジンを適当に棒状に切って一切れずつ入れ、それをクルクルと巻き、ほどけないようにつまようじでとめる。今日は夜お客さんが来るので、全部で30個も作る。

ソースには、自家製ラードを大さじ一杯、生ローズマリーのみじん切り、ニンニク2カケ(これはみじん切りにしない)、セージを入れてゆっくり焦がさないように炒める。ニンジンやセロリが余っていたら、これも適当に刻んで一緒にソースに入れるとよい。じわじわと良い香りがしてきたら、ここに用意した肉巻きを敷き詰めて炒める。この時も、強火で肉の表面だけジュッと焦げ目をつけて・・・、なんてことをしないで適当に中火から強火くらいで炒めていく。水分がたくさんでるので、蓋をしないで水気をとばす。イタリアで牛肉をフライパンで炒めると、なぜこんなにたくさん水分がでるのか謎だったのが最近わかった。長いことテフロン加工のフライパンでガスの火も弱すぎるからかなと悩んでいたのだ。そのせいもあるけれど、肉に脂肪分がまったくないので、脂の代わりに水分がたくさんでるらしい。赤身だけの牛ひき肉と脂肪のたくさんついた牛ひき肉を別々に炒めてみて気がついたのだが、脂肪が多い方は水がまったくでていなかったのだ。これにはなるほどなあと驚いた。

さて、話がそれたが、次に赤ワインをグラス2杯分、たっぷり目に入れる。ワインが煮たって良い香りがしてきたら、今度はトマトの水煮を手でグズグズにして入れる。煮立ったら塩も入れて蓋をし、2時間ほどゆっくり煮込む。煮込むことで、ヨーロッパ特有の固い牛肉は繊維が柔らかくなり、とてもおいしくなる。脂身が多い日本の霜降り肉だと、トマトソースに脂がういてしつこい。これはどんな牛肉を使った煮込み料理にも言えることだ。

そしてゴロッとしていると思っていた肉巻きも、たっぷりのトマトソースによくからんで柔らかく、ほろりと崩れるほどだ。巻いておいた香草やグワンチャーレが肉の中から香りをだして、ソースにもじんわりコクがでる。このソースが余った時は、パスタを茹でて次の日のお昼に和えて食べるのが楽しみ第2段階なのだ。

今日子



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