昨日、今日とローマではアフリカから来る砂のたくさん混ざった雨が降り続いた。車や地面などすべて砂だらけで、まるで桜島の噴火したあとのようだ。北イタリアでは雪が降っているのに対し、中心から下は雨で気温も19度と高い。

私の住んでいるところに比べて、ローマはいつも湿気が高くなまぬるい空気がただよっている。土、日はローマ市民が地方にでて少なくなるので、街が空いていて好きだ。時々ならここもいいなと思う。ローマは歩いていると、昔の歴史的建造物が普通に存在していて、本当にきれいな街だ。

私の夫はローマで生まれ、ローマで育ったが、いつも「ローマにスイス人が住んでいたらよかったのに」と言う。街はゴミだらけ、お店や銀行、公共機関はみんな対応がひどく悪い、車の運転は攻撃的ですぐに「アーウ!」とどなりちらし、みんなケンカ腰。

以前住んでいたところはローマの中心で、街で一番排気ガスの汚染がひどいところだった。今では汚染対策として、月に1回か2回車を運転しない日曜というのがあるが、にもかかわらず汚染は2倍になったという。家の中は外の喧騒がほとんど聞こえないところだったが、一歩外にでると騒音と匂いとで頭がいたくなるようだった。どうして自分はこんな環境の悪いところに住んでいるのだろうと、だんだん不幸な気分になった。そしてついに田舎に引っ越すことを決意した。

昨日前の家の近くを通ったら、新しい仕事場ができていた。何かと思ってのぞいてみると、なんと映画で使う死体人形を作る場所になっていた。中には血だらけの死体がゴロゴロしていてギョッとした。また田舎に越してよかったと思う理由が1つふえたのだった。

今日子