この間ちょっと話したチーズケーキの元祖、パスティエーラ・ナポレターナの話。

このケーキは名前の通りナポリのケーキだが、数少ないイタリアのおいしいケーキの1つだ。普通のチーズケーキと違うのは、フィラデルフィアチーズの代わりにリコッタチーズを使うこと、レモンの代わりにオレンジのピールとオレンジの香りの水を使うことだ。

リコッタチーズは普通のチーズに比べて脂肪分が少ないのでさっぱりする。オレンジピールはできれば自家製の方がよいだろう。ピールは他のお菓子にもおいしく使えるし、たくさん作って保存しておくととても便利だ。オレンジの水というのは売っているが、オレンジピールを煮た水だともっといい香りがする(売っているのは人工的な匂いがするものが多い)。

変わっているのは小麦を水に2、3日つけておいたものを一度沸騰させ、1時間程煮詰め、その後牛乳と砂糖とレモンの皮をおろしたもので煮詰める。柔らかくなりにくい時はもう少し煮る。そして、リコッタチーズの中に一緒に入れる。

タルト用生地を作る。バターと砂糖を柔らかくなるまで混ぜ、卵黄を1ついれて混ぜる。そこに薄力粉を入れてざっくりと混ぜた後にラップでくるんで冷蔵庫で休ませる。

卵黄と卵白4、5個をボールに分け、それぞれ泡立て器で卵白は角が立つまで混ぜ、卵黄はもったりとクリーム色になるまで砂糖を加えて混ぜる。卵黄の入ったボールにリコッタチーズを300g~400g加え、オレンジピールを小さく切ったものを200g、オレンジの水を大さじ1杯入れる。小麦を牛乳で煮た物も大さじ3杯程入れる。卵白を泡立てたもので作っておいた物の半分を入れてザックリかき混ぜる。最後に大さじ2杯小麦粉をふるってこれもザックリ混ぜる。

用意しておいたパイ生地を下用に5ミリの厚さに綿棒でのばし、上用に3ミリの薄さにのばした生地を5ミリ幅に包丁で長めに切る。パイシートに下の生地をしき、中にたっぷり作っておいたリコッタチーズを入れ、用意しておいた3ミリ幅の生地を格子状にしく。あとは180度のオーブンで40分から50分焼く。出来立てはオレンジの香りがとてもよく、リコッタはフワッとやわらかい。しばらくして冷めた物はリコッタとオレンジピールの味がよくして味が落ち着いてよい。

このケーキもパスクワの料理として知られ、この時期よく食べられる物なのだ。冬に作っておいたピール、卵をたくさん産むにわとり、と材料はそろっているのだ。ある物を無理なく使って食べるイタリア料理にかなっているなあと思う。

今日子