イタリアに来てからよくサラダを食べるようになった。サラダはごはんのおかずにはならないけれど、肉料理にはよくあう。よく高齢のヨーロッパのおばさんなど、毎食必ずサラダを食べるという人までいる(サラダはおいしいし、種類も数多くある)。

その中で最近発見したのが、自家製のワインビネガーだ。ワインビネガーなんてイタリアで買うと安いし、どれも同じかと思っていたら全く違っていた。近所の農家の人にわけてもらったワインビネガーは、サラダにかけるとたしかにブドウの香りがして酸味もきつ過ぎず、本当にサラダが何倍もおいしく感じた。オリーブオイルと一緒で、素材の味を殺さず、よりおいしく食べられるワインビネガーだった。

私も作ってみたいと思い、作り方を聞いてみると、まず市販のワインには酸化防止剤が入っているのでできないそう。そこで普段飲んでいる農家のワインを使ってみる。市販の酸化促進材も売っているが、この家のは生のスパゲッティ2、3本、クリスマスの時期にあるとげのある植物の赤い実(名前が思い出せないので今度調べてみる)を4、5個入れる。これでワインが発酵するのだ。

スパゲッティを使うなんてさすがイタリアだと感心する。ワインによってどのくらい時間がかかるかはまちまちだ。この家では大きな樽の下の方に蛇口がついていて、上面にたまるカスのようなカビのようなものが入らないようにしている。

前に東京でイタリア産ワインビネガーを買ったら、驚くほど高くて、苦くてツンツン鼻につくだけで料理が台無しだと思った。イワシのオイル漬けを作ったのだが、ワインビネガーがブドウの香りだったらさぞおいしくできていただろう。

今日子