先週から私の村では毎年恒例の夏祭りが始まっている。夏祭りでは村の主婦達が作る「タベルナ」と呼ばれる食事どころができ、レストランより安い値段で簡単な食事ができる。簡単と言っても前菜からデザートまで一通り食べることができ、私の好きなのは手作りのフォカッチャに生ハム又はサルシッチャ(ソーセージ)、チーズなどをはさんで食べるものだ。冷たいビールと一緒に食べると昼間の暑さの疲れも吹っ飛ぶようだ。フォカッチャはサックリパリパリしていて、日本人の好きな「モチッとした食感の生地」とはちょっと違う。

お皿やコップなどはすべてプラスチックで、料理のメニューも少ないので「かしこまった食事を!」と思って行くと期待はずれかもしれない。しかし主婦達の作る家庭的な料理はリラックスできて楽しめる。外で食べるということもあって、これもリラックスにつながるのかもしれない。それぞれの村に料理に特徴があり、うちの村では鹿肉の料理をだすことになっている。といっても鹿肉は冷凍で北イタリアから取り寄せているそうだ(ここでも私は羊肉と一緒で鹿肉を食べたくないので、味についてはなんとも言えない。でもシルヴィオは鹿肉のラグー(ミートソース)のパスタをおいしいと食べていた。ジビエ関係はシルヴィオに任せることにしている)。

トランポリンなど子供が遊べる施設もあるので、食事をしなくても、夜8時過ぎて涼しくなると村の人々が家族連れでゾロゾロとやってくる。知り合いばかりなので、親同士、子供同士楽しく過ごす。大人の楽しみのメインは、広場に設置されたステージと、社交ダンスを踊れる広い場所だ。ステージには毎晩地方を廻るバンドがやってきて、昔ながらのイタリア音楽をアコーディオンをメインにして演奏する。

ステージの下では皆が社交ダンスを踊る。かなり気合いを入れて、毎晩踊りにくる村の人もたくさんいる。そこでは仲良しの年配の夫婦や、小さな子供達、16歳くらいの女の子が組になって踊っていたりする。若い女の子同士というのはよくあるそうで、皆練習のために若い女の子同士で組むそうだ。ヘタでも上手でも皆楽しく踊っていて、子供の頃から皆自然に社交ダンスを覚えていくようだ。中にはお父さんが娘に教えていたり、お母さんやおばあちゃんが小さな子供と踊っていたりして微笑ましい。社交ダンスは日本でいう盆踊りみたいなものなのかしらとカルチャーショックをうける。

もちろん、踊りが苦手な人もいて、そういう人達はフロワーの周りのイスに座って親しい人々が踊るのを涼みながら見ているのだ。

毎晩行くわけではないけれど、夜仕事をしていても風にのってアコーディオンの音楽が聞こえてくるので、これを聞くと夏だなあと思える。シルヴィオが言うには、こういった村祭りを見ると、まるで50年代を思い出すということだ。そこがまた、古きよきイタリアっぽくてステキなのだ。

今日子