buonitaliaのblog

ちょっと暖かくなったかと思うと、次の日は寒くて風がビュンビュン吹いて寒い。まだ完全に春にならないのが、畑の土を見てもわかる。

早く夏野菜を植えたくて待ちきれないので、畑を耕しに来てもらう人にもうそろそろ準備したいと言うと、まだ土がぬれているから耕せないと言う。毎年私は気が早くて笑われるのだが、夏野菜のトマト、ズッキーニ、カボチャ、ナス、インゲン、ピーマンなどはやはり野菜の中でもランクの高いもので、派手さ加減も他とは違う。

私の家の近くに住んでいるおばあさんは、トマトを作るのに、50年以上も彼女の育てたとトマトの種を使って育てている。普通みんな苗を購入するのだが、その人は暇だから、といいながら毎年種をとっておいて乾かして次の年に使う。

これはここ10年20年と改良に改良を重ねているトマトのことを考えると、とても貴重なのだ。改良を重ねたトマトは病気に強いが、味が人工的なのが特徴だ。だからその人の作るトマトは50年前のものと同じもので、味も変わらないことになる。

家も本当にオーソドックスな農家だが、まわりの景色がすばらしいので、本当にいいところですね、と言うと、ここなら自分たちの食べる物を作れるし、家畜も飼う場所があって本当によかったよ、という返事が返ってきた。

少し分けてもらったトマトを食べると、たしかに変に甘くないし、野性的な香りが強くて地味においしい。そのおばあちゃんは自宅用、息子夫婦二家族用とで、冬の瓶詰め用トマトは60~70の苗を植え、それいがいにオーソドックスな丸いトマトを30株ほど作っている。店に出している訳ではなく、すべて家族用でスーパーなどではまったくトマトを買ったことがないそうだ。70歳を過ぎた人だが、この先息子がこの貴重なトマトを根絶やしにしないよう期待が高まっている。

今日子



今日は息子の幼稚園の友達の誕生日会だった。招待されたのでプレゼントを買って午後4時にその子の家に行ってみた。

大きな家の大きな庭で、典型的な田舎のお金持ちの家だった。プールも建設中だ。

中に入ると、祖母、叔母、母、姉の4人で大掛かりなパーティの準備をしている。長さ5メートルはある大家族用の食卓に、直径40センチはあるケーキが9種類もならんでいる!。ケーキと言っても、田舎のケーキはだいたいどの家も同じで、タルト生地にジャムを塗ったもの(クロスタータという)、果物をのせたもの、リコッタチーズのもの、チョコレートのものなどである(生地はすべて同じ)。どれもかなり甘い。

そして庭では大きな釜焼きピザをこれまたテーブルのように大きなのを焼いている。マルゲリータ、ジャガイモとローズマリーノ、ズッキーニなどの種類だ。

そして他に小さい肉団子を揚げたもの、スプリと呼ばれるお米のコロッケ、パニーノ(自家製生ハム入り)などがテーブルにならんでいる。ポップコーン、ポテトチップス、コーラ、スプライト、ファンタオレンジなどの飲み物もある。誕生日会には必ず風船が家のあちこちに飾ってある。

これがこの辺りの誕生日会の典型的な例だ。幼稚園の友人の他に、大家族の親戚が山のように押し寄せ、夜8時くらいにパーティの目玉の四角くて平べったい生クリーム(必ず植物性脂肪分を使っている)にキャラクターや果物をのせたショートケーキで、スポンジは2段でカスタードクリームが入っているものがでてくる。そして主役の子供はローソクをふき消し、大人が来ている子供全員と写真を撮ったり、ビデオカメラに収めたりする。

子供だけではなく、両親もいなければならないので、全部で60人近くいただろう。誕生日は重要な行事なのだ。実は私も去年意を決してやってみたが、親戚もいないし大家族でもないので全部一人で35人分食事を作ったのだが、次の日から3日間ばったり寝込んでしまった。ローマにいる友人の子供は誕生日は両親が子供を残して2時間程一緒に遊ばせて、ケーキやお菓子をだして終わりだと言う。これだとずいぶん楽なのだが、今年の誕生日はどうしようかと、今から心配になってきた。息子は楽しみにしているので、何かしら考えなければならない。う~ん、おそろしい。

今日子



今日はお昼にトルテッリーニという、中に肉を詰めるパスタを作った。ラビオリと中身が一緒で、生ハム、モルタデッラというハム、豚引き肉、パルメザンチーズ、卵、ナツメグを入れて作る。

パスタは卵と小麦粉だけで、100g卵1個の割合でつくる。パスタは気持ち柔らかめの方がいいので、もう一つ余分に卵を入れても良い。それをこねて、パスタマシーンで一番薄くできるメモリにあわせてのばしていく。

トルテッリーニは別名女神のおヘソとも言い、ラビオリが四角いのに対して、こちらは人のヘソのように丸い。作り方は図に書くと簡単なのだが、正方形の生パスタの中心にひき肉を入れ、三角形になるように折り曲げる。そして端と端をくっつけて、三角形の上の部分と端をつなげたところを少し折り曲げる。

中身が同じなら四角と丸でも味は変わらないのではないか、と思うかもしれないが、食べた時の食感、ソースの絡み具合など微妙なところでずいぶん違いがでる。イタリア的な表現だと、かわいくて感じがよい、と言ったところか。生パスタのつるんとした食感と、三角の両端をつなげた2重になったところのアルデンテな歯触りと、肉の旨味が合わさってとてもおいしい。形を変えるのはただ見た目の楽しみだけではない。計算し尽くして出来上がった物でもなく、楽しみでできたらこんなにおいしかった、というところだろうか。そこがすごい。バターとセージの葉を絡めて食べる場合と、トマトソースにする場合と、いろいろな組み合わせを楽しめるのも良い。トルテッリーニは本当に手が込んでいて作るのに時間もかかるのが難点だが、やはり市販のものに比べて手作りの物はその人の手の加減が微妙にでるので特別においしい。

今日子



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