今日は久しぶりに雪が降った。私の住んでいるところは気温はマイナス10度近くになるが、雪はあまり降らない。わずか20センチ程度の雪なのに、学校はすべて休みになってしまった。デンマーク人の友人が笑っていた。こんな雪で学校が休みだったら、北欧の人はどうするんだ、と。
以前シエナに住んでいた時、大寒波で大雪が降ったことがある。シエナも寒いのに雪が滅多に降らないせいか、誰も雪かきをしなかった。道がいつまでもドロドロで、朝晩は凍ってしまうというのが続いた。店の前もみんな雪でベチャベチャなのに、誰も掃除しようとしない。
イタリアの中流以上の家庭ではほとんど掃除婦がいて、自分で自分の家を掃除するという習慣があまりない。週に2回くらい、時給1000円くらいで1日3時間ほどやってもらうのだ。
掃除をする人はだいたい難民で、フィリピン人などは行儀がよくて仕事もよくできるので評判がよい。アフリカ人などは、とても明るくておしゃべり好きだが、まったく掃除がはかどらないのでみんないやがる(別に差別をしているわけではなく、お国柄ということか)。難民が多くて仕事につけない彼らにとっては大事な収入源なのだ。
イタリアの昔からの階級制度も少なくなったとはいえ、影響が大きい。仕事ができてお金持ちの家庭のおくさんほど掃除ができないようなかんじだ。そういう人は掃除などみっともなくてしないのだ。
学校でも生徒は掃除をしないので、子供の頃から家をきれいに掃除するという習慣がない。だからみんな掃除がへたで、家が汚くても掃除婦が来るまで3日でも4日でも待っているのである。
ヨーロッパの家は土足のせいもあるが、どうしても汚い印象がある。家が土足でも子供は床に平気でねっころがるし、年に1度の大晦日の大掃除もない。布団を干す人など見たことがない。街の景観が損なわれるので、洗濯物も窓には干さない。
それでもフランスの友人によるとフランスはもっと汚いという。みんな靴のままベットに寝転がるし、お風呂もシャワーも日本人のように入らない。
私の家は田舎なので、外の泥がどんどん入ってくるし、毎日薪を家に運んだりしてとにかくよく汚れる。掃除に来てもらっている以外にも自分で掃除をしなくては気持ちが悪くなる。やはり映画のようにはいかないなあと住んでみて実感する。
今日子
2004年01月
ビーフシチュー
今日は久しぶりにビーフシチューを作った。ビーフシチューはイタリア語ではブラザートという。多分ヨーロッパではどこの国でもそれぞれの方法でビーフシチューを食べるのだろう。
イタリアのブラザートは赤ワインのおいしいバローロ地方が有名だ。牛肉をバローロのコクのある、力強い味のワインで煮るのだ。
さてブラザートには牛肉のどの部分を使ったらいいのか。これは説明がとてもむずかしい。なぜなら州によって肉の切り方が違うので(料理法が異なるから)、各部位の名前が全く違うのだ。
私はこれでいつもとても苦労する。肉の解体に行くと、それぞれどこをどう切ったらよいか各家庭違うので私にもたずねてくる。
例えばロースはどうやってきる?とか肩肉はどうする?とか。しかし名前がわからないので料理の方法もわからなくて、しどろもどろになってしまう。すると田舎の主婦達は、まったく都会の若い子はダメね、という顔をする。日本でも呼び名が違うのでよけい難しいのだが、ナポリの友人もローマでは呼び名が違うと困りまくっていた。意外とイタリア人でも苦労しているに違いない。
というわけで、一番おいしい所はコローナとかタッリオ・レアーレといわれる、ステーキ肉の上の方と思われる部分だ。
にんじんとセロリを角切りにし、にんにくとオリーブオイルでじっくり炒める。そこにトマトも2、3個入れ、玉ねぎをこげ茶色になるまでじっくり炒めたものも入れる。肉は大きめに切って塩、コショウ、小麦粉をまぶしてアツアツのフライパンで表面に焼き色をつける。そして玉ねぎ、セロリ、にんじんを炒めてある鍋に一緒に入れてワインをたっぷり入れる(肉の頭がかぶるまで)。
そして4、5時間弱火でゆっくり煮る。できたら肉だけとりだして煮汁をミキサーにかけてもう1度鍋に戻す。小麦粉を炒めてこげ茶のブラウンソースを作らなくても、野菜がたくさん入っているのでちょうどよい具合にとろみがつくのだ。
作った次の日の方がおいしくなっている。脂肪分の少ない牛肉は長時間煮ると驚くほど柔らかくなり、さっぱりと美味しく食べられる。日本のように牛肉が高くないので、そんなに気張ってつくらなくてよいのもうれしいかぎりだ。
今日子
ローマのピザ
今日は本当に寒い1日だった。ロンドンから来た知人がローマの方が寒いと言っていた。
夜久しぶりにピザを食べに行った。場所はナボーナ広場から少しいったBAFFETTO(バッフェット)というローマ風の薄いピザの店だ。オーナーが90歳にもなる口ひげを生やしたおじいさんで、バッフェットは口ひげの意味。そのオーナーはどう見ても60代にしかみえないが、毎晩店に来て店が満員なのを眺めて満足している。店が大繁盛で大金持ちになったのだが、自分の店をこよなく愛していて、家でゆっくりしているわけにはいかないそうだ。
そうそう、イタリアではピザはちょっと軽い夕食を、と夜行くことが多い。だからピザ屋も夜しかやらないというところが多いのだ(軽くといってもあの馬鹿でかいピザとその上ブルスケッタも食べるのでお腹はいっぱいになる)。
かんじんのピザの味は、やっぱりすばらしくおいしかった。他でもいろいろ食べてみたが、私はここのが一番好きだ。ナポリの厚いピザはまた別のおいしさがあるが、小麦粉とモッツァレッラチーズとトマトソースという単純な材料で、こんなに味が他と違うのかと驚いてしまう。やはり焼き方や生地が違うのだろう。薄焼きピザは表面の生地がパリッとしていて、なおかつその2ミリくらいの厚さの中身が柔らかくなければならない。それがどうしても家ではできないのだ。
お腹がいっぱいで大満足のあと、散歩しながら家に帰ったが、寒くて人通りの少ないローマはとてもきれいだと改めて思った。
今日子
キアニーネ
土曜日からローマに来ている。ローマのレストランでビステッカ・フィオレンティーナを食べた。フィレンツェの近辺で有名な、キアニーネという種類の牛のステーキだ。
キアニーネは白い牛で気が荒いが、肉質がとてもやわらかくてイタリアではとても有名な牛だ。キアニーネと言っても他の種類の牛と混ざっていて純粋のキアニーネは少ないと言われている。
私の食べたのが本物のキアニーネかどうかはさだかではないが、炭火焼のステーキはまず量に圧倒される。厚みも3センチはあり、1人500グラムはある。パスタや前菜を食べた後この500グラムを食べられる日本人はなかなか少ないだろう。普通2人でステーキ一つを注文すると、一塊を2つに切って出してくる。間違って1人で1つ注文したら大変だ(もちろんウエイトレスも間違えないように言ってくれるだろうが)。
日本の牛肉と違い脂肪分がなく、カロリーも霜降り肉の半分と言われている。西洋人は日本の霜降り肉をおいしいという人もいるが、脂っこくて食べられないという人もよくいる(しかし私は霜降り肉がやっぱり好きなのだが)。
量が多すぎて食べられない場合はお持ち帰りにしてもらうとよい。
しかしローマのレストランで最近食事をしても、どうもたいして美味しいと思わなくなってしまった。美味しくないレストランに行ったのだろうと思われるかもしれないが、このレストランはおいしいよ、と地元の人に有名なところでも、そうでもない。
やはりローマやフィレンツェのように観光の街では家賃も高く、コストを下げるようにしている所がほとんどだろう。阿佐ヶ谷の店で売っているような良質のオリーブオイルを使っているところなど、まずない。自信を持ってこのオリーブオイルはどこよりもおいしいと言える。いろいろな所で食べるたびに、内心うちの店はレベルが高いとホッとするのである。
今日子
カリフラワーのグラタン
今日はマイナス4度ととても寒い1日だった。うちの方はあまり雪は降らないが、凍った水溜りは1日中溶けないでそのままだ。
畑の野菜も寒さで凍ってしまうので、あわてて寒さしのぎの布をかけてやる。せっかく出来たカリフラワーが死んでしまったら大変だ。
ローマ産の黄緑色の先がとがっている、おかしなカリフラワーは味がとてもよく、よく火を通してもベチャベチャにならない。
今日はこれを使ってベシャメルソースのマカロニグラタンを作った。カリフラワーに火を通し(蒸した方が味が逃げない)、ベシャメルを作る。ベシャメルにはパルメザンチーズをたっぷりいれるとコクがでておいしい。
そこにショートパスタを茹でてたものとカリフラワー、ベシャメルをあえ、上にパン粉とバターをちらしてオーブンで焼く。
上がこんがりと焼けたらできあがりだ。カリフラワーとベシャメルは相性がよく、友人のフランス人のおばちゃんがフランスではよく食べると言っていた。ベシャメルはイタリアでは太るとか胃が重くなると言う人も多いが、実際に作るとついおいしくて食べてしまうといったところか。
パルメザンチーズたっぷりでトロリとしているのをアツアツでいただく。寒い時にはぴったりだ。
今日子