buonitaliaのblog

2004年02月

今日はローマに住んでいる友人で、フランス人のおばちゃんの家で夕食をごちそうになった。

ジャガイモと鱈をオーブンで焼いたもので、とてもおいしかった。鱈はイタリアでは安くて手軽な魚といわれている。普通は塩漬けになっていて1日水で塩抜きをするか、冷凍で塩は入っていないか、あとは魚屋で生のものを買うかの3つだ。

この料理は「Brandade」(ブランダードゥ)という名で、作り方は、メークイーンのジャガイモを1kg程蒸す(茹でるとジャガイモの味が薄くなる)。ジャガイモの火が通ったら、ニンニクと一緒に塩入バターでさっとフライパンで炒め、フォークで細かくつぶす。

鱈はジャガイモと同量を牛乳に浸してオーブンで焼く。火が通ったら牛乳からだして骨を抜きながら、手でクズクズにする。この牛乳を鱈と潰しておいたジャガイモに混ぜる。

次にジャガイモに卵黄を2個入れ、卵白は泡立ててからジャガイモに混る。くずした鱈にはジャガイモを少しあえて、あとは上にのせる為残しておく。

パイ皿に鱈を下、ジャガイモを上にして入れ、オーブンで焼く。ジャガイモがピューレの1歩手前で柔らかくなっていて、オーブンで焼くと上がカリッと香ばしく、中が柔らかくて鱈のうまみが混ざってすごくおいしい。鱈もパサパサしがちで普通あまりおいしいと思わないが、ジャガイモと一緒でしっとりといい味をだしている。

やはりフランス料理は技というか、イタリア料理に比べてあれこれ混ぜて素材の欠点を補ったり、イタリア料理のシンプルさと比べるとかなり違いがある。

そして塩入の新鮮なバターのおいしさといったら、すごい。イタリアのバターは普通塩が入っていない。脂肪分も少ないせいかあまりピンとこない。脂肪を気にするイタリア人はバターもヨーグルトも牛乳もチーズもフランスのそれに比べてずいぶんさっぱりしている。

毎日こんなこってりしたバターをパンにたっぷり塗って食べたら、さぞかしおいしいけど体重もかなり気になる・・・。

今日子



近所の鶏の卵を産む時期がピークに達している。普段2、3家庭がうちに卵を届けてくれるのだが、この時期はどこもかしこもみんなうちに持ってきてくれる。もちろんお金はとらない。もらってくれてありがとうと感謝までされる。

多い時は40個近くになってしまい、うちでももてあます。こういう時はローマの知人などに届けると、地鶏の産みたて卵だと、とても喜んでくれる。

あと1ヶ月ちょっとで復活祭だが、それまで鶏はたくさん卵を産む。それもあってか、パスクワ(復活祭)はキリストの復活と掛けて、誕生のイメージの卵料理をたくさん作る。

よくあるのが卵をたくさん使った生地を焼いたものだ。ペコリーノチーズ(羊のチーズ)の入ったパンのようなもので、ピッツァ・サラータ(塩入ピッツァ)とかピッツァ アルフォルマッジォ(チーズ入りピッツァ)という。*ピッツァといっても普通のピザではなく、スポンジケーキのような丸くて高さのある型で焼く。私はペコリーノが苦手なのであまりうまく紹介できなくて残念だ。

他にゆで卵を丸ごと10個ぐらい入れて野菜と一緒に焼くパイのようなものや、コロンバという卵の生地の鳩型のケーキなどなど。卵をたくさん使うので、手打ちパスタもよく作る。

パスクワ用の料理は、正直いってどれも特別おいしいという程のものでもないが、とにかく重要な行事なので皆意気込んで作る。これを食べないとパスクワが来た気がしないのよね、と。しかし私にとっては、さらに大の苦手の羊の肉を食べるので、近所の家に招待されないよう、毎年理由をつけて逃げまわる緊張する時期なのだ。

今日子



昨日は知人のうちで夕食をごちそうになった。子供をあずかってもらい、迎えに行ったら夕食も食べていけと勧めてくれる。

イタリア人は親しみの意味をこめて自宅に招待する。そしてみんな自慢の料理の腕をふるうのだが、どこのうちに招待されてもみんな料理が本当に上手だと感心する。ほとんど、十中八九ものすごくおいしい。マンマの料理は最高だから、うちの奥さんの料理は格別だから、とみんな自慢に思っている。

みんな料理学校に行ってなにか特別にならったわけではなく、母親や祖母から自然にならったものだ。底力がちがうわけだ。

イタリアに来てからしばらく知り合いがいなかったので、イタリア料理はレストランで食べていた。それがはじめてイタリア人の家で食事をしたときの驚きといったらそれはなかった。

今でもよく覚えているが、トマトのパスタとズッキーニの肉詰め、レンズマメの煮たもの、サラダ。ほんとうに作った人が大喜びするほど、勧められるままに私はたくさん食べた。

この時突然わかったのだが、イタリア料理はつくづく家庭で食べたほうがおいしい。まったく難しい技を使うわけでもなく、市場に行っておいしい材料を買って、シンプルに、ある意味とても贅沢に食べるというのが一番だ。

そしてそれぞれの料理が、ジャガイモってなんておいしいのだろう、ズッキーニってなんて甘味があるのだろう、ナスってこんなにおいしかったのか、と素材の味を最大限にひきだす料理法なのだ。オリーブオイルはそれぞれの素材の味を完璧にうまくひきだしている。

昨日の夕食はアーティチョークのピザとスペアリブの炭火焼、果物だった。ここまで全て手作りの家もめずらしいが、自分の畑で心をこめて育てたトマトで作ったソース、同じく5月に採れるアーティチョークをオイル漬けにしたもの、心を込めて育てた豚、すべてにわたって行き届いていて、幸せな気分になるのだ。

今日子



今日は久しぶりに魚屋に行った。ここは山なので魚はやはり流通がよくない。肉に比べて高いこともあり、なるべくお金を使わないようにしている農家の人達にとっては高価なものなのだ。

イタリアは、基本的に魚屋は火曜日と金曜日しか開いていない。もちろん大きな街や海辺に行けば開いているけれど、もともと漁猟にでるのが火曜と金曜だけだったので、新鮮な魚はやはりこの2つの曜日の方が見つけやすい。

養殖の魚には最近話題になった狂牛病の原因の肉骨粉が使われているので気をつけたほうがよい。それに何よりもまずくて食べられない。脂っこくて、その脂が悪くなったようなひどい匂いがするのだ。どうも安い魚だなと思ったら疑ってかかるべきだろう。魚屋は信用できるところでないと、養殖を天然だと言う奴もいるからだ。

今日はきれいなサバがあったので買ってきた。日本のサバに比べたらちょっと大味だが、それでもおいしい食べ方はある。私の好きなのは、サバのオリーブオイル漬けだ。

作り方は簡単で、サバの内臓、頭をとって水できれいに洗い、3枚におろしたあと塩をふって1時間ほどおいておく。次に玉ねぎ、にんじんセロリ、月桂樹の葉を鍋に入れ、白ワインを入れてサバを蒸す。火が通ったら冷ましてたっぷりのオリーブオイル、ワインビネガー、玉ねぎの薄切りを混ぜたものの中に2時間ほど漬けておく。

これでセコンド・ピアットとしてうれしい一品になる。サバにあまり脂がのっていない分、オリーブオイルを多めにするとパサパサしなくていい。おいしいマグロのオイル漬けにも勝る、ボリュームのある料理だ。臭みを消すための玉ねぎとワインビネガーがなんて気の利いた使い方だろうと感心する。

今日子



お昼にひよこ豆のスープを作った。ひよこ豆は最近日本でも簡単に手に入る豆だ。

食べ方はいろいろなスープに入れることが多いが、私がよく作るのは、豆を柔らかく煮た後ミキサーでペースト状にし、別の鍋にニンニクとオリーブオイルを炒め、アンチョビ2、3本、ミニトマト3、4個、ローズマリーを入れ弱火で炒める。

次にひよこ豆のペーストを入れ、固すぎたら茹で汁を入れてのばしながら30分ほど弱火でコトコト煮る。これにスープ用の小さいパスタを入れてお皿に盛り、上にはもちろんオリーブオイルをたっぷりかけて食べるのだ。

甘味があって味がぼやけがちなひよこ豆に、アンチョビの複雑でしっかりした味とローズマリーの香りがとてもよくあう。このスープはパスタを入れないで朝食にパンと一緒に食べてもいい(もちろん前の日に作っておく)。野菜のポタージュのようでいて牛乳が入っていないのでさっぱりと食べられるのもいい。

他にレンズ豆のスープも同様に、にんにくとオリーブオイル、にんじんとセロリを炒め、一緒に煮たものを野菜こし器にかけ、上にオリーブオイルをかけて食べる。組み合わせはパンと肉、チーズなどだ。どうです?イタリアはパスタとピザの国だけれど、毎食パスタとピザではなく、そうでない食事も本当に豊富にあるのだ。

今日子



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