buonitaliaのblog

2004年05月

そろそろ庭の畑のアーティチョークも終わりに近づいてきた。アーティチョークの花は最初にでてくるものが株の中心からでてくる一番大きいつぼみで、そのあと横からすこし小さめの花がどんどんでてくる。その小さい花はたくさんでるので、いっぺんに食べきれなくて保存することも多い。

保存の仕方は、うちではアーティチョークの花を例によって花びらがやわらかくなるまで剥いてきれいにし、それを白ワインとワインビネガーでヒタヒタになるまで覆い、落としぶたをして煮る。中にニンニク2カケ、メントゥッチャ(野生のミントの葉)、塩少々を入れ、沸騰してから柔らかくなるまで10分(採れたてだと早く煮える)煮る。

そしてそれらを冷まして水気を切った物をオリーブオイルに漬ける。アーティチョークがオリーブオイルからでているとそこから傷んでいくので、それだけ気をつける。

こうすると1年でも保つ。一般に出回っているアーティチョークの瓶詰めは大方このような方法で売られている。もちろん大量生産のものはこんなにおいしくはないが。

このアーティチョークは前菜にもなるし、ピザの上にのせてもよいし、肉料理の付け合わせにもなる便利な保存食だ。お客さんが来た時にうちで作っている物ですと言ってだすとイタリア人は喜んでくれるのでうちでは重宝している。

今日子



ここのところやっと何日か晴れの日が続き畑の土が乾いてきたので、土を耕しトマトやナスなどの夏野菜の苗を植えることができた。

今まで小さな鉢に入っていた苗は根が伸びて鉢の下の穴からでてしまい、あきらかに苦しんでいる様子だった。一まわり大きめの鉢を用意して、トマトの苗30本、ナスとピーマンの苗各6本づつ、レタスの苗20本すべて入れ替えて今までどうにか保たせていた。こんなことはめずらしいとまわりの農家の人々は言っていた。

家の前の大きな畑は大家さんのもので、毎年小麦を植えている。小麦は11月に種をまき、冬の寒い時にきれいな黄緑色の芽をだす。寒いグレーの景色に栄えてとてもきれいだ。その後どんどん緑が濃くなっていき、4月には穂がでてきて緑と銀色が混じったようなすばらしい色になる。その穂が風でサワサワと揺れると遠くまで波のように続いていく。

そして夏にはゴッホの絵のように濃い黄色が一面に広がり、夏の景色を楽しめる。

去年は土が疲れていたせいか大家さんの小麦はあまりうまくできなかったので、今年はひまわりを植えるそうだ。ひまわりは土の栄養が偏った時に植えると土の状態をリセットしてくれるそうだ。

というわけで家のまわりは今年はひまわり畑でいっぱいになるそうだ。しかしひまわりが太陽の方に花を向けるので、私の家からは朝から晩まで花の後ろ姿しか見えないというちょっと残念な状態になる。

今日子



近頃洋梨があまりおいしくない。私の住んでいる所も、ローマの市場でも、私がイタリアに来た8年前、シエナやローマで食べていた洋梨と何か違う。

山の方でとてもおいしいのを食べたと言う人もいるが、普通に市場やスーパーで売っているのはどれもまったく熟していない。

どこかの雑誌では、買ってから1週間程待ってから食べるようにと書いてあるが、つい食べたいので熟していない木のように固い梨の皮をむいてしまいあとで後悔する。

そこであまりおいしくない洋梨をワインと砂糖でやわらかく煮込み、タルトを作ることにした。洋梨のタルトはいろいろあるけれど、家にあった材料で適当に作ってみた。

下に使う生地は、強力粉、ラード、砂糖、水をザックリ混ぜてラップに包み30分休ませる。水は入れすぎると生地がベッタリするので、少なめに。

洋梨はくし切りにしたものをワイン(赤でも白でも)と砂糖(量は好みで)で20分程煮込む。

アーモンドの粉(売っているものでも、自分でミキサーにかけてもどちらでもよい)と卵黄2個、ハチミツ大さじ1杯、砂糖をよく混ぜる。残りの卵白は砂糖を入れて泡立ててメレンゲを作る。そして作っておいたアーモンドの粉とサックリ混ぜる。

用意しておいた生地を麺棒で1センチ程度の厚さにのばし、タルト用の型にくっつかないようラードをのばしたものの上に敷き、アーモンドの粉を流し入れる。その上に洋梨を敷き詰め、180から200度のオーブンで40分ほど焼く。

洋梨がワインの香りがして甘く、やわらかい。そこにアーモンドの粉と卵でしっとり香ばしくなった中身と、ラードでサックリと焼けたタルトは最高においしい。

このタルトは洋梨の他にリンゴ(お菓子用の固いもの)を代用にしてもよい。リンゴはバターで炒め、砂糖をまぶしたあと、ワインの代わりにコニャックをかける。リンゴとコニャックはやはり相性が抜群だ。あとはアーモンドの粉もラードと小麦粉の生地も同じように作ってオーブンで焼く。

どちらも洋梨やリンゴをたっぷり使うのがおすすめだ。後味すっきりのシンプルなタルトは、いろいろな果物を使って試してみると楽しい。

今日子



今日は注文しておいた暖炉に使う薪が届いた。10月から4月まで、だいたい300kgくらいは使う。それらをトラックで持って来てもらい、屋根のついている薪置き場の前にドドーーッとおとしてもらう。それを私と夫できれいに積み上げていく(ほとんど夫がやるが)。

新しい薪は水分が多いのでものすごく重い。そのまま燃やそうとしてもぜんぜん燃えないので、今から秋まで、風通しのよいところでよく乾かさなければならない。秋になってから慌てて薪を買ってもちっとも燃えなくて苦労するので、2月頃からどこの家庭でもこの薪を積む作業をする。車で走っていても、薪を積んだトラックがのんびり走っているのをよく見かける。

この辺りは樫の木が多いので、薪の種類は樫の木を使う。樫の木は燃えやすくて薪の質が良いが、値段も他より少し高めだ。300kgで300ユーロくらいだが、寒い冬の暖房代から比べれば安いものだ。値段が安いのは樫の木以外にも他の種類の木をごまかして混ぜてあったりするので、信用のあるところから買わなければならない。

この薪を使って肉を焼くと、薪のよい香りが肉に移ってよりおいしくなる。残った灰も畑にまくと、土にとても良い栄養になるのだ。栗の木の灰は畑に良くないなど、種類によっていろいろかわるらしい。

今でも山に入って行くと木こりが住んでいて、トラクターが入れない所など、馬とロバの間の子のラバが木を背中に積んで働いている。まるでおとぎ話の中に入ったような気分になる。

料理にも防寒にも欠かせない大事な薪を大、中、小に分けてきれいに積んでいく作業は、重労働だが大切な仕事なのである。

今日子



ウンブリアの名物で、小麦粉と水を練ってつくる太めのパスタがある。まるで讃岐うどんのようなパスタだ。このパスタは乾燥したものを店で売っているが、自分で作ることもできる。

うどんのようにコシが強くて足で踏んだり何時間も寝かせたりしなくてもできるのでお手軽だ。小麦粉と水だけのパスタで家庭でもできるもの、というのは今の乾燥スパゲッティができる前に家庭で普通に食べていたものなのだろう。

イタリアの小麦粉は強力粉、薄力粉というふうに分けてあるのではなく、”0”、”00”となっていて、”0”がピザやパン、パスタ用、”00”が菓子用と書いてある。しかし”0”は日本の強力粉程コシが強くなく、パスタを作る時ゴムのように押しても押しても戻ってくる大変な作業をしなくてよい。

そのくせ茹でるとちゃんとコシがあって噛みごたえのある麺になっていて、いつも不思議だと思う。

それに菓子用の小麦粉をピザや手打ちパスタに使う人もいるので、あまり日本のように厳格な決まりはないのだと思う。

うどんに似ているこのパスタは、トマトソースと一緒に食べたり、ミートソースなどの濃厚なソースに和えてもよく合う。今思えば、小学校の頃給食によくでてきたソフト麺というのは、これをおいしくなくしたものだったのだろうか。

今日子



このページのトップヘ