


レーズン、ラム酒を入れたりんごをのせ、くるっと巻いて
今日は朝7時から車で40分ほどのチーズ工房に
お邪魔してきました。こちらは水牛を450頭飼っていて、
主に水牛のモッツァレッラチーズを作っています。
こちらのミルクは低音殺菌の必要がない悪い菌がいない
高品質のミルクだそう。殺菌していないミルク、初めてで
感動です。
水牛のミルクは牛より脂肪分が多いので、こってりして
匂いも苦手だったらどうしようと心配でしたが、驚くほど
あっさりしていました。デリケートな味わいで美味しかったです。
お昼に出来立て熱々のリコッタチーズをパンにかけた
ご飯をご馳走になりました。ナポリの工房で昔から
食べられているお昼ご飯だそうです。
(彼らはナポリから引っ越してきたそう)
事細かにいろんなことを教えてくれて大変勉強になり
ました。片付けまで終わったのが17時くらいで、最後ヨレヨレ
でしたが、皆さんお忙しい中本当によくして下さってまたまた
大感謝です。
家族のことやこの仕事のこと、モッツアレッラチーズの
歴史など様々なことを教えてもらいました。
皆一生懸命でまっすぐでクリエイティブ、困難を乗り越えて
人に優しくて、イタリアを支えている底力なんだなと思います。
今日は日曜日。村の人々は大抵親戚や友人の家に
お昼を食べに行きます。
友人家族は結婚して25年、毎週日曜の昼は必ず
家族みんなで母親の家にご飯を食べに行くのを
続けていてすごいです。奥さんが(笑)。
私は久しぶりにイタリア式肉団子を作りました。
イタリアの肉団子は合挽き肉または牛肉にイタリアン
パセリやタイムなど好きな香草とパルメザンチーズなどの
熟成チーズを入れます。玉ねぎの代わりに潰した
ニンニクを少し、塩、胡椒で味つけます。パン粉と牛乳、
卵一個を入れて軽く混ぜます。
ヨーロッパの赤身肉には脂肪がほとんどありません。
その分肉の味が濃く、熟成チーズの旨味が効いていて
意外とあっさりしています。
オリーブオイルとニンニク、香草(バジル、セロリ、
人参などなんでも)、トマト、塩を入れて煮詰め、
ソースを先に作ります。
そこに丸めた肉団子を入れ、煮込んだら出来上がりです。
(ソースに入れる前に肉団子を揚げたり炒めたりしない
ほうがあっさりします)
日本で作るときは、牛ひき肉の脂肪分が多すぎて
ギトギトになってしまうので、豚ひき肉だけで
作ったりします。
全ての素材の味がわかっておいしいと好評でした。
昔浦沢直樹のなんかの漫画でイタリア人の料理人が
出てきて、パスタを作った人に、「全部の素材の味が
ちゃんとわかるのが良い料理だ」というようなことを
言っていました。
確かにイタリア人からそう言われることがよくあって、
彼らは食べた時に舌で素材の味を探していて、調味料の
組み合わせの比率を敏感に感じ取る日本人とは少し味
の感じ方が違うんだなあと思ったりします。
庭のイチジクが熟してきました。白イチジクと
黒と両方の木があります。
イタリアのイチジクは、そのままでジャムを食べて
いるみたいに甘いです。
ジャコモさんの話では、チーズの凝固剤にはイチジクの
白い汁やカルドンと呼ばれるアザミの一種の植物の汁を
使用することもあるそう。先日訪れた小さなローカルの
チーズ工房ではカルドンと動物の胃腸のエキスの両方を
使っていました。植物性の凝固剤を使用したチーズは主に
ベジタリアンの方が購入するそうで、チーズにもベジと
そうでないのがあると思うと、大変だなこりゃ、と思います。
ジャコモさんの使用している凝固剤は、動物性で
添加物は一切使用していないそうです。
凝固剤は普通に薬局で売っています。今でも羊を数頭
飼っている家もあり、そういうところは良いミルクで
自宅でチーズを作っているから、需要があるのだそうです。
パルメザンチーズの様な巨大なチーズは一個につき
千リットルもの牛乳が必要で、個人宅で作るのとは
別物ですが、普通のチーズは元々はもっと身近な
ものでもあります。
東京でチーズを作り始めたのは、チーズは特別なもの
だけど、どう特別かを理解して、もっと身近になれば
いいのになと思ったからでした。ジャコモさんに私の
作ったチーズを味見してもらったら、美味しい、これ
美味しいよ。ちゃんとできてる、と真剣な顔で驚いて
いました。
食べる前は結構疑って笑っていたけど、納得してくれて
すごい嬉しかったです。
昨日は朝4時にVitto・ジャコモさんのチーズ工房に
行ってきました。
ジャコモさんの1日は午前2時起きで仕事が始まります。
まず牛乳約500リットルを低温殺菌。
そこから37度まで冷やし、レンネットを入れます。
15分くらいで凝固。
撹拌してホエーを出し、生地の水切りをします。
水切りした生地を手でポロポロに崩して塩をし、
熱湯を入れ、生地が熱でどんどん伸びていきます。
熱々の生地を3段に重ねながら丸めてモッツアレッラ
の形を作ります。他にブッラータ、トレッチャという
編み込みの入った形や、結び目を一つ作ったものなどを
同じ生地でどんどん作ります。
カードを攪拌させるときに、一部分けておいた生地で
カーチョカバッロを作ります(この生地は2度加熱)。
最後に大量に出たホエーを煮てリコッタチーズを作り、
作業が終了。器具や工房の大掃除をし、ホエーを近所の
個人の養豚所に持っていき、次の日用の牛乳を隣の牧場に取りに
行ってお昼頃一日の仕事が終わり。
リコッタチーズを40分煮ている間、隙を見て10分だけ休みを
とり、隣のバールでカプッチーノとコルネットの朝食で
生き返りました。チーズ作りはかなりハードで、男性の職人が
多いのに納得。羊飼いや牛飼いは元々男性だし、重量など
様々な面で主に男性の仕事なんだそうです。
ジャコモさんのモッツァレッラチーズは切ると中からジュワーッと
ミルクが出てきます。表面の生地がツルッとして、中は重ねた生地が
ゴワゴワしたアルデンテの食感です。丸める時の手の動きで一つの
モッツァレッラに色々な食感とミルキーな味が楽しめます。
日が経つと柔らかくなってアルデンテの食感がなくなるので、
毎日作りたてだけ販売しています。
ジャコモさんの温かく真面目な人柄も魅力的です。
もう年金生活だけど、新しく娘が開いたレストランのためと、
みんなが喜んでくれるので仕事を続けているそう。今は機械の
大量生産のところも多いので、こういう職人さんは食べる人にも
とてもありがたいです。