子供の頃、テレビで伊藤みどり選手のトリプルアクセルを見て以来、フィギアスケートが大好きになった。イタリアではフィギアスケートはマイナーなスポーツで、テレビではあまり放送しない。
有料のスポーツ放送ではたまにやっているが、なにしろ番組変更が多く、時間を合わせてテレビの前にスタンバイしていても肩透かしを食う。「時間が変更になりました」のお知らせテロップなんてないので「あれー?・・・、あれー???」としばらく違う番組を見続けてがっかりするばかり。イタリアのスポーツ番組はサッカー、サッカー、サッカー、これでもかというほどサッカーなのだ。バレーボールでさえ、南米で世界選手権が行われた時、イタリアチームは優勝したにもかかわらずテレビで放送してなかった。(イタリアは男女ともバレーボールが強い)
そんなわけで、今度の長期日本滞在中、日本のテレビで存分にフィギアスケートを楽しめた。楽しめたけど、いろいろと腑に落ちない結果で見ていて悲しくなった。あんまり不満に思ったので、ネットでいろいろ検索していると、ソニア・ビアンケッティさんのサイトにたどりついた。お、この人イタリア人じゃん。しかも元ISU(国際スケート連盟)の会長だった人。
シルヴィオにこんな人がいるよと伝えると、シルヴィオはさっそく彼女にメールを送ってみた。すると驚いたことに次の日に返事が返ってきた。なんでも、アメリカでフィギアスケートのジャッジが学ぶための教科書を出版しているそうで、本も送ってくれた。採点基準やショート、フリープログラムのシステムを作った人でもある。
どうしてオリンピックの結果がこうなったか、選手の感想など何度もメールで詳しく教えてくれてとてもうれしかった。日本ではきっと、海外のスケート関係者がどう思っているかを知りたがっているはずだ。そう思って、いくつか日本のマスコミにインタビューできますと売り込んでみたが、なしのつぶて。
日本語でどういうか知らないけれど、フィギアスケートはイタリア語では「芸術的スケート(Pattinaggio Artistico)」といい、他のヨーロッパのどの国の名詞もこの芸術という言葉がついているとソニアは言っていた。
本の御礼に私の和食の本(イタリア語)とオリーブオイルのおいしい生活(日本語)を送った。シルヴィオが、ソニアに「この和食の本でトリプルアクセルを決められますように」と手紙に書くよう言ったので、相変わらずすごく良い言い回しを思いつくなと感心して、手紙にその通りつけ加えた。
何週間かして、ソニアから本が届いたとメールがきた。そしてそこには、さっそく復活祭にむけて和食料理を試しているが、4回転アクセルになりそうだと書いてあってまたまた感心した。この笑いを含めた物言い。イタリア人て、言い回しがいつも絶妙だなと思う。思ったことをストレートに伝えるのではなく、いつも一ひねり入れていろんな意味を含めるような言い回し。たとえば、以前デンマークから日本とイタリアに同時に絵ハガキを送ったら、日本には4日で届いたのに、イタリアには1カ月以上かかって着いたと話しをした。友人はあきれて、「まあ、イタリアに入ってからは徒歩できたのかしら」と返してきた。なんか怒りを通り越して笑いにかわってしまった。
ソニアは今回の世界選手権の記事を書いているが、きっと今度の記事はKyokoも気に入るはずだと言っていたので、楽しみにしている。
ソニア・ビアンケッティさんのサイト
http://www.soniabianchetti.com(英語)
コメント