田舎の家にはほぼみんな貯蔵庫がある。貯蔵庫はワインを保存しておくような暗くて湿っぽい、涼しい所だ。この辺りではみんなワインにオリーブオイル、生ハムにチーズ、トマトの瓶詰め、ジャガイモなどを置いている。必ず大きな冷凍庫が一つあって、肉を冷凍してある。

うちのは貯蔵庫と倉庫がごっちゃになったようなものだが(もちろんオリーブオイルは置いてある)、最近あまりにも汚くてなんとかしなければと肩に重くのしかかっていた。

なにしろガラクタが山積みになっていて足の踏み場もなかったのに、犬が入ってそのガラクタ類をめちゃくちゃに噛み砕いて遊んでしまったのだ。おまけに蜘蛛の巣がお化け屋敷のようになっていて、中に入ると顔に蜘蛛の巣の固まりがベッタリくっついたりして大変だ。

ドアを開ける時は、頭に虫が落ちてこないよう、いつも開けてから10秒待って入るようにするのが習慣だったが、それで昨日は救われた。開けた途端マムシが足下に落ちてきたのだ。ちょっと日が射して暖かくなっていたので、鉄のドアの上で暖まっていたのだ(マムシは熱いのが好き)。

マムシを直に見るのは二回目で、一度は門の鉄のさし棒に絡まっていたので、近所の人に猟銃で撃ってもらった。

私はどちらかと言うと蛇はあまり気持ち悪いと思わない方なので、まじまじと見てしまった。マムシは20センチくらいの長さで細くてグレーっぽい。頭が三角に尖っていて、普通人間を見ると、他の蛇と違って逃げないで威嚇する。噛まれると猛毒があるので危険だ。

しかしこの蛇は威嚇しないで壁の穴に入り込んでしまった。これでこの倉庫の整理をしないわけにはいかなくなった。今日は一日中ゴミ捨てと掃除におわれたが、とうとうマムシはでてこなかった。壁に穴がいっぱいあるのでどこに行ったかさっぱりわからない。すみかにしているのだろうか、どうりでうちの貯蔵庫にはネズミがでないと納得してしまった。

しばらくはマムシがでてこないか気をつけながら出入りをしなければならない。でもあんなに汚かった貯蔵庫がきれいになってさっぱりすっきりもした。

今日子