以前住んでいたローマの家の近所のおいしいパン屋さんに見学に言って来た。日本から来たパンの先生と一緒に行き、ウンブリアのパン屋とローマのパン屋を比較してみたかったのだ。
天然酵母パンやピザなど、いろいろなパンを見せてもらって大変勉強になった。ウンブリアの塩なしパンとはまったく製法が違っていておもしろい。そこのパン屋の自慢である、ラリアーノという天然酵母のパンは、小麦粉(全粒粉)とワインビネガー少々、それに水を混ぜたものを、1年近くねかしておく。2、3日に1度小麦粉と水分を少々加える。これだけ長い間ねかせておいても全く酸っぱい匂いがしないところが不思議だ。
(天然酵母はいろいろな種類がある。レーズンを使ったり果物を使ったりする他に、そこのパン屋さんの話では、昔はジャガイモの皮を使って作っている人もいたそうだ。ジャガイモを水につけ、4日後くらいから発酵が始まり、その水と全粒粉を混ぜて酵母の種を作っていたという)
ワインビネガーと小麦粉の酵母と薄力粉を使って、ラリアーノの生地を30分ほどこねる。次に一次発酵を5、6時間。形を整えたら二次発酵を1時間行い、セモリナ粉を周りにふって、300度のガスオーブンで焼く。このパンはビール酵母を使わないで焼くので、ほのかな酸味のあるパンになる。固くて噛み応えがあり、噛めば噛む程味がじんわりとでてくるようなパンだ。色もくすんだ茶色である(日本のフワフワの食パンと正反対だ)。
ウンブリアのパンもローマのパンも、私のパンの先生が言うには日本のパンより随分水分を多くしているそうだ。小麦粉の種類が違うせいだという。
それにしても、このパン屋の若旦那のパンのプロとしての根性や、技はすばらしかった。田舎のパン屋とはまた違った面白さだ。明日はウンブリアのフォカッチャとローマのフォカッチャについて書こうと思う。
今日子
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