昨日の日曜日は、アルナルド・カプライという、ウンブリアの有名なワインを作り、500年前からの伝統的な超高級素材を使った布、メリヤスの工場を持つ人の店に行ってきた。場所はウンブリアのトレーヴィというとてもきれいな街の近くにある。昨日は残念ながらものすごい霧でまわりがさっぱり見えなかったのだが。

講義はここのスタッフで、建築家、修復家で、テーブルマナーの先生のカペッツァーリさんが行った。この人はローマの有名なヒルトンホテルのレストランのセッティングも努めていた人で、イタリア各地で講義を開いているそうだ。ルネッサンス時代、美しいテーブルクロスがいかに大切だったか、食事のマナーやナイフやフォークの置き方、グラスの置き方、お皿の置き方、クリスマスのテーブルセッティングなどなど様々な話をしてくれた。

行くきっかけは、近所に素敵な別荘を持つ仲良しのおばちゃんで、彼女はそこの常連客でもある。「面白いから一緒に行きましょ」と言われて行ってみた。受講料はタダだったが、10人の受講生は皆大金持ちのマダムといったところで、ジーパンに家からでるときについた泥のついた靴をはいているのは私だけだった(笑)。そこで売っている品物もかなりのお値段だ。

内容は、なんというか、家庭では間違ってもこんな込み入ったセッティンはしないだろうなというところだ。それでも国会や大事な仕事上での食事で役に立つようなマナーを教えてくれたので、もしかしたら一生に一度くらいは役に立つかも、という部分が大半だった。伝統的で正当なマナーを知っている人が少なくなっているので、受け継いでいこうという狙いもあるらしい。

講義の中で、カペッツァーリさんが熱を入れていた話に、「自宅にお客様を招待したときのおもてなしの仕方について」があった。実際、イタリアでは(他のヨーロッパでも)お客さんを家に呼ぶことができるというのはある種のステイタスのようなものだ。お客さんに楽しんでもらう、自分の家を見てもらうことは人間関係を築く上でとても大事なことなのだ。さらにお客さんに寝室を提供して泊まってもらうことができたら尚よい。狭い東京に住んでいたら容易とは言えないが、イタリアに住んでみてだんだんこの習慣にも磨きがかかってきた。

行ってスタッフの人にきいたのだが、なんでもここの高級素材を使った洋服をサッカーの中田選手がデザインしてビジネスにしているそう。雑誌ブルータスにもここの会社が掲載されていたそうで、目にした人も中にはいると思う。

テーブルマナーやセッティングの話は、12月10日、11日に料理教室を開く際にお話できたらと思う。もちろん講師は私、朝田今日子が務めます。

今日子