先週1週間はローマに滞在し、やっとウンブリアに帰って来た。1週間も何をしていたかというと、自宅に新しく薪ストーブをつけるので、ストーブを取り付け、屋根に煙突をつける工事のために避難していたのだ。このストーブは昨年寒くなる前に購入したのだが、5、6人の水道屋に工事を断られ続け、やっとこさ取り付けがかなったものだ(忙しいから来られないという理由だったが、本当にイタリアの水道屋には参った)。

ストーブは昔ながらの薪ストーブで、横にオーブンが付いている、レトロな雰囲気満点のものだ。上に鍋ややかんをかけておけば、料理もできる。このストーブ一台でだだっ広い家全体を温めてくれるので、今まで大金をかけていたガス暖房にもおさらばでき、一石二鳥とはまさにこのことだ。友人の家で一目見て気に入り、以前からほしかったのでとてもうれしい。もともとは北ヨーロッパのタイプらしいが、なにしろデザインが素敵だ。薪ストーブなんて薪をいちいち運ぶのが大変だし、ちょくちょく薪を足さなければならないし、大変だからやめた方が良いというのが水道屋の話だった。しかし私は毎日暖炉に薪を運び、火をつけてゆっくりと燃えていくのを見ていてもちっとも嫌ではない。

最近は薪ではなく、木のクズを加工してよく燃えるようにした"ペレット"というのが人気で、軽いし燃える時間もゆっくりで、一度入れたら34時間保つものがある。水道屋はそちらの方がいいと言っていたが、値段もこのストーブの倍はするし、料理はできない、デザインもいまいちということで、あえてレトロなストーブを選んだ。この辺りの田舎の人は、便利なものに対するあこがれのようなものがある。一方都会で育った私には、不便でも昔ながらのもの対するあこがれがあり、対照的なのが面白い。

オリーブオイルの搾油所では、オリーブを搾ったカスを燃やして暖房をあたためるという所もある。搾ると大量にでるカスを捨てるのは問題があるので、効率よく燃料にするそうだ。搾るのはちょうど寒くなる時期なので、なるほどよくできていると感心する。

薪は一番質の良い樫の木でもときわ樫という種類を使う。値段も他の木に比べると高めだが、一度安い薪を試してみたら高くても納得した。安いものは、燃えた時に熱の元になる炭が少ししかでない。これではいくら燃やしてもなかなか暖かくならないのだ。

今の所、このストーブを使って一番やってみたいことは、鍋に野菜をたっぷりと水、塩を入れてミネストローネを作ることだ。「ゆっくりやさしい火で長時間煮たミネストローネのおいしいことといったら」と年配の友人が言っていた。子供の頃おばあちゃんがストーブで作っていたミネストローネの味が忘れられないそうだ。私はその話が忘れられなかったので、まずはこれを試してみたい。

そしてオーブンだ。薪のオーブンは500度くらいま温度があがるので、さっそくこれでピザを焼いてみたいなど、あれこれ考えてしまう。とりあえず、お客が来たのでいつでも沸騰しているヤカンで、さっとお茶を入れることができて満足する。

今日子