今回は写真が撮れなくて残念なのだが、夕食にお客さんを10人も呼び、イタリア料理ならでは、簡単でみんなでわけられる料理を用意した。オリーブの実のクロスティーニ─パスタ─肉料理オーブン焼き─野菜─トルタという具合(料理をしている時やできあがって食べる前に写真を撮るのは本当に難しいのだ)。
この中の豚肉のロースを固まりで焼く料理が大好評だったのでご紹介する。“カレ”はフランス語の「Carre'」でパン・カレとかと同じ箱形を意味する。料理と言っても簡単で、少しのことに注意すればなんでもない料理だ。骨付きのロース肉の固まり約2キロに塩をすり込み、生のローズマリーとセージの葉、ニンニク1かけをみじん切りにして(約茶碗一杯分になるくらい)まんべんなくすり込む。特に骨の部分の臭みを和らげるために、骨の周りにたっぷり香草をまぶし、深めのオーブン皿に入れて焼く。なぜ深めがよいかは、肉を焼いていると大量の肉汁が出てくるため、皿が浅いとオーブンの熱で蒸発してしまい、肉がカラカラに乾きすぎてしまう。
オーブンの温度は200度で、2時間半程焼いてみた。時々たくさんでる肉汁を肉の上の方に回しかける。オーブンの下の段で焼いている、別のオーブン皿に入れた乱切りのジャガイモにも肉汁を回しかけて混ぜておく。こうすると、ジャガイモと肉を別々に焼いてもジャガイモにたっぷり豚肉の旨味がしみ込み、たかがジャガイモと馬鹿にできない程おいしく仕上がるのだ(ジャガイモは焼く前にオリーブオイルと塩をし、ローズマリーも入れて混ぜておく)。
さて、こんがりすばらしい焼け具合になり、竹串で焼けたかどうか肉に刺してみると、透明の肉汁がでてくる。肉汁がピンク色だともう少し焼いた方がいいので、肉の大きさによって焼き加減をみることが大切だ。
これを1センチくらいの厚さに切りわけ、骨も一本ずつはずしていく。骨はよく焼けると間接の所から簡単に折れ、この骨の周りについている肉を食べるのがまたたまらなくおいしい。お皿にジャガイモと肉と骨を盛りつけて、最後に肉汁をかけて食べる。オーブンで大きな肉をかたまりで焼くと、驚く程やわらかくしっとりと焼け、思わずウ~ンとうなってしまう程だった。
農家の人に“おいしい”と言わせることはかなりむずかしい。なぜなら彼らは常に最高の素材を食べているので、そんじょそこらの買ってきたもの、調味料でごまかした料理、お金をだせば手に入る高級素材など使ってみても決しておいしいとは思わないのだ。世界中の様々な“買える料理”を食べている人達の舌が必ずしも肥えているとは言えないのがわかる。その土地で採れる新鮮な食べ物を食べて来た彼らの舌は抜群に肥えている。
自分で育てた野菜や家畜を食べていたら、買って来たものを食べてもこうはならないことがわかる。私はいつもそういう人達に夕食に呼んでもらい、どういう物がおいしいか、そうでないか、かけがえのないことを教えてもらう。ちょっと大変でも、ご近所さんを夕食に招待することは、これからもよろしくねという意味で大事なのことなのだ。
今日子
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